看護師は感情のコントロールを必要とされる職業です。中でも特に怒りや悲しみなどの負の感情のコントロールを求められる場面に多く遭遇します。闘病する患者をそばで支える看護師は、患者の感情を直接的にぶつけられる機会も多いでしょう。当然、看護師自身に怒りの感情が湧き上がることもあるはずです。しかし患者にとって安心で安全な療養環境を整えるために、看護師は患者や家族の前では毅然とした態度で振る舞っています。
では、看護師はどのようにして怒りをコントロールするのでしょうか。重要なのは客観的に物事を捉える視点です。患者の発言をただそのままの意味として受け取るのではなく、言動の裏に隠された真意について考えることが必要です。患者は常に病気という得体の知れない恐怖を感じています。また、療養のための制限など不自由さも抱えています。その患者の置かれた立場を考慮した時、患者の言動にはただの苛立ちやわがままとは別の意味が浮き上がってくるのです。そしてそのような真意を理解することができるようになれば、怒りの感情もコントロールできるようになっていくでしょう。
しかしその過程は容易なことではない。看護師の業務は多忙であり、一人一人の患者との関わりに十分に時間を割くことができないことも多くあります。そしてストレスを抱え込んでしまうこともあるでしょう。一人で悩むことのないように、チームミーティングの場で共有することも必要です。看護師は複数人のチームで患者のケアに当たります。チームで考えることで、解決の糸口が見つかることもあります。一人ではなくチームで協力することも、看護師の怒りのコントロールには重要なのです。